胃のかたち
上田信治による俳句研究。
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俳句界5月号 小澤實特別作品50句「巨人」
「俳句界」の先々月号に載った小澤實さんの50句。

  セイタカアワダチサウ秋草に入るや否や  

一句目。カタカナ表記される植物名、つまり俳句的情緒外の「名」なんですけど、「サウ」と旧かな表記になるところが、脳がカユイ。

  自動車教習所の踏切や秋の暮

二句目です。自動車教習所の踏切ですよ。鉄道抜き、自然抜き=情緒抜きの異界とも言える空間に「秋の暮」=俳句的情緒をしたたらせてみる。

  きんぴらの胡麻粒ふまへ精霊よ

四句目。立たせましたねえ、また、立ちにくそうなところに。この精霊は、ひょっとしたら精霊(ジン)というやつかもしれません。

  防弾チョッキ下にネクタイ巡査秋

十九句目。同じ作者の「酒飲んで椅子からころげ落ちて秋」の「秋」と比べてみると、椅子から落ちた酔客の心情と秋は、響きあっていたわけですが、巡査と秋は、ぷつんと切れて、でも同じ空間に「在る」。これが「寒」だったら、全体が包まれちゃうんですけど。巡査は秋と関わりなく、話者も、へんなことが気になっていて秋を忘れている。かたっぽの腕がながーいやじろべえみたいな、十五音と二音の拮抗。

  人形の正面はるか見る寒さ

二十一句目。「正面「はるか」「見る」と、言葉をつないだかたちが、前にすーっとのびた視線と平仄があっていて、寒い。

  鰭酒の炎淡しやほとんど無し

二十三句目。基本かっこいい写生なんですけど、「ほとんど無し」と口語まじりの言いつづめが、酔ってない。クールです。

  ピンクのうさぎ腹の鋼の箱冷ゆる
  立ち上がり巨人去りゆく枯野かな
  春の暮カニクヒザルもイソガニも

三十七句目。
四十四句目。
五十句目。

心なしか、「俳句」や「俳句研究」の作品よりも、あばれんぼうぶりが、際だっていたような気がします。

漫画家であり、漫画評論の書き手でもあるいしかわじゅんの創見に、本質的に新しい作品を生むことが二番手誌の役割だ、という指摘があります。「漫画アクション」から「花の応援団」が、「漫画サンデー」から「まんだら屋の良太」が、生まれたように。「俳句界」には、栄えあるB級雑誌をめざしてほしいな、と。
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2007/10/05(金) 00:31:22 | ゆうかの日記
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