胃のかたち
上田信治による俳句研究。
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感覚の交響(3)
「匂ひ」と他の感覚の交響。

   水たまり踏んでくちなし匂ふ夜へ 小川軽舟

音と匂いと運動感覚が動員されていることで、かえって暗さが生々しい。まるで読み手が目かくしでもされて、句の中に入っていくような。そして、もひとつひっくり返して、闇の中の「くちなし」の、見えない白まで見せようという。うーん、華麗なるテクニック。

   湖畔亭にヘヤピンこぼれ雷匂ふ  西東三鬼

ピンの鈍い光りと触れあう音、今すぐ降ってきそうな雨、オゾンの匂い(?)。なにやら「金属っぽさ」があふれる空間。口に金っ気の味がしそうなほど。「湖畔亭」が、低い雲のすぐ下につきだしたデッキを想像させ、とりまく水が、電気と金属の仲をとりもっている。(ヘヤピンに雷が落ちたら、こわいなと思って、作ったんだったりして)

「匂い」は、他の五感に喩えにくい感覚(「ざらっとした感触」とか「明るい音」というような言い方がしにくい)。そのぶん、他の感覚とクロスする位置に置かれると、言葉が直接指示できない微妙なあたりを、ぼんやりと指してくれる気がする。知らないことを思い出そうとしているような。すくなくとも「金属っぽさ」という言葉は、はじめて使いました。
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