胃のかたち
上田信治による俳句研究。
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ヘンな句ばっかり
前のエントリで挙げた句が、読み返して面白かったので、かんたんな鑑賞を。

  とんとんと歩く子鴉名はヤコブ  素十

近年では並んで発表された「たべ飽きてとんとん歩く鴉の子」のほうが、有名かも知れないが、もともと「子はヤコブ」の句が、虚子撰の「雑詠選集」にも入り、評価が高かった。ハイデルベルヒ居住時代の句なので、海外詠としての評価か。ときどき「何も言ってない」ことを誉められる句があるが、この句は、何も言ってない上、よけいなことまで言っている。おもしろい。

  ついて行く大きな男橇のあと   〃

この句、「ついて行く」と「男」の間に「大きな」がはさまっている分、ぶつぶつのうどんのように、切れてしまっているのだが、それが、このゆるい情景(おそらく、たいしたスピードではない橇、とっとっととついて行く男)に、よく釣り合っている。下五では、もう眼前にない橇の話をしている。

  落ちてゆく木の実の見えて海青く 尚毅

「木の実の見えて」の「見えて」が、おかしい。「見えて」と言っていながら、ここは木の実が「見えなくなる」ことを、言っているのだが「海青く」と言われて困った。「木の実見えけり海青く」だったら、落ちきるところまで見終わって、ああ海が青い、というだけの話だ。
「木の実の見えて海青く」と言われてしまうと、この人が、いつ海が青いことを見たのか(あるいは見てもいないのか)よく分からなくなる。木の実も、ちゃんと落ち切ったのか、どうか。ああ、変な句だ。

  そのへんに鯔の来てゐる祭かな  〃

「そのへんに」という切り出しにつきる。「そのへんに」なんなんだか、分からない上に、「そのへん」てお前はどこだよ!!と、突っ込まざるをえない。以前引いた、加倉井秋をの「そんな時刻石燈籠に蝿びつしり」を思い出させる、しょうがなさである。
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